日本最古の和歌集、万葉集は全20巻からなり4500首余もの詩(うた)が収められています。
2019年に発表された新元号「令和」の出典元となったことが皆さんの記憶にも新しいと思います。
20巻すべて完成するまでになんと約100年もの年月がかかっています。
詩の読み手も様々で天皇から貴族、官人、そして名前がわからない兵士や農民の詩も収められています。
また詩は北は東北地方、南は九州まで多くの地域から収集されており完成までに100年かかったのも頷けます。
万葉集を現代の何かに置き換えるとしたら音楽のヒットチャートです。
それもプロアマ問わず、良い歌はすべて収録されているアルバムのようなものです。
収録されている歌の種類は3つに分類されます。
相聞:男女の恋愛を詠った詩
挽歌:人の死に関する詩
雑歌:相聞、挽歌以外の詩
これだけの多種多様な詩の編纂作業、そして完成までに100年かかっていることから当時の一大国家プロジェクトと考えられていますが、編纂の経緯はよくわかっていません。
[編集後記]
万葉集の中に収められている詩の中で特に悲しい詩は、名もなき防人達の詩です。防人とは主に九州北部を守るためにに置かれた兵士たちのことです。
今でいう徴兵制度で日本各地から集められました。任期は3年で、食料や装備を買うお金、交通費に至るまで自腹という農民たちにとっては重たい制度でした。
しかも今ほど交通機関も発達していなかったため、途中で野垂死ぬことも多かったようです。
万葉集を編纂し残してくれたからこそ、かつてこのような不遇な先祖達が居たことを現代の我々は知ることが出来るんです。
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